30歳代からの介護経営マネジメント

部下を持ったら押さえておきたい介護経営知識

モチベーションを高める

 

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介護業界で介護職員として働くあなたは、どのようにしてモチベーションを保っていますか?社内研修、社外研修で技術を体得し、医療・介護・福祉に関する知識を深めようと本屋で介護関連の本を購入して読んでいますか?確かにこれらはモチベーションが上がります。自分を高めることは喜びでもありますし、自分の成長を肌で感じられることは、自分が必要とされる存在であるとアピールできます。自分はなくてはいけない存在なんだと。

 

 

さて、一つ興味深い実験があります。心理学者リチャード・E・ニスベッドらの実験です。(図解モチベーション大百科 池田貴将編著 サンクチュアリ出版 P.30~P.31から引用)

内発的動機づけ
幼稚園児たちに、マーカーペンを使って、遊んでもらいました。
Aチームの子どもたちには、
先に「上手に絵をかけたら、ごほうびをあける」と伝えておき、絵をかいたあとごほうびをあげた。

Bチームの子どもたちには、
先にごほうびのことには触れず、絵を描いたあとごほうびをあげた。

Cチームの子どもには、
ごほうびをあげなかった。

結果
Aチームは、他のチームより長い時間、絵を描いて遊んだ。数週間後、同じ子どもたちにまたマーカーペンで遊んでもらいました。今度はごほうびがありません。

結果
BチームとCチームは前回同様、絵を描いて遊んだ。Aチームは、絵を描くことに興味をしめさなくなった。
※ただし、予定外にごほうびをあげた分については、影響がなかった。

つまり、自主的な行動に対してごほうびを与えると、内発的な動機づけが損なわれる。報酬はできるだけサプライズで与えようという教訓となります。

 

では、あなたの会社ではどうだろうか?効果的な「見返り」は人それぞれなので、馬の鼻先にニンジンをぶら下げてくれたら、がんばれそうです。金銭的報酬があれば最高のように思えます。しかし、お金はインパクトが強すぎるので注意が必要です。もともと仕事それ自体が報酬だったのに、金銭的報酬は仕事と満足の間に割り込んで「仕事→金→満足」と分離してしまうのです。こうしてひとたび金のために仕事をするようになると、もうおしまいです。あとは金をもらえなくなると満足が得られなくなり、仕事をする気もまた、なくなってしまうのです。


では、どうすればモチベーションが上がるのか?そのヒントの一つに有名なハーズバーグの動機づけ衛生理論があります。

ハーズバーグの動機づけ衛生理論
動機づけ要因:達成、承認、仕事そのもの、責任、昇進は満足をもたらす
衛生要因:給料や作業条件は不満足を予防する要因

モチベーションを保つには、達成、承認、仕事そのもの、責任、昇進の方が、馬の鼻先にニンジンになりそうです。

ちなみに、人間の欲求は最低次の生理的欲求から始まって際高次の自己実現まで5段階に分かれていて、各段階の欲求が満たされるとより高次段階の欲求を欲するようになるというマズロー欲求段階説は、「衣食足りて礼節を知る」的な雰囲気があって、医療・介護・福祉の業界での人気で様々な勉強会、研修会で取り上げられます。実は、1970年代には、科学的に否定されています。(大学4年間の経営学が10時間でざっと学べる 高橋伸夫著 KADOKAWA P.62~P.63より引用)

 

では、ハーズバーグの動機づけ衛生理論では、達成、承認、仕事そのもの、責任、昇進の方が、馬の鼻先にニンジンになり得ると述べたが、この中であなたが、コントロールできる要因はどれだろうか?

責任と昇進は、権限がないと自分ではコントロールできそうにない。承認は他人に、特に上司してもらうもの。部下や後輩には、有効であることが分かる。残るは、達成と仕事そのもの。これが考え方次第で、なんとかなりそうではないでしょうか。今日の業務を作業にしてしまえば、ただ作業をこなすだけのロボットになるようなもの。マニュアル通りに作業をこなしていれば、1日は終わっていくでしょう。この手の仕事は、誰にでもできるので、あなたの変わりはいくらでもいる。つまりあなたでなくてもいいです。より安い時給の人に任せた方が人件費は浮くので、単純作業で昇給を夢見るのは現実的ではない。1日1日、1作業ごとにスモールゴールを設定して、達成していくとモチベーションは上がる。つぎに、仕事そのものだが、これはとっても重要。

仕事そのもの
1万時間の法則。1つの仕事をマスターするのに一般的に1万時間かかると言われている。1日8時間働いて、月に128時間。1年で1,536時間。5年で7,680時間。5年から10年でその道をマスターできるという考え方です。あなたが30代で一つの道をマスターしたとすれば、100分の1の存在だ。次の技能を磨き、100分の1の存在になればキャリアのかけ算で、10,000分の1の存在になれ、レアキャラになれるということです。介護職以前のキャリアがあれば、すでに10,000分の1。さらに、100分の1のキャリアを積んで、キャリアのかけ算をすれば、1,000,000分の1の超レアキャになれます。この数字は、オリンピック選手になるのと同じ確率と言われています。これからのキャリア形成は、足し算ではなく、かけ算型を目指すべきです。さあ、キャリアを磨こうではないか。