30歳代からの介護経営マネジメント

部下を持ったら押さえておきたい介護経営知識

介護事故 リスクマネジメント

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介護事故の事後対応について、確認します。

介護事故で最頻発する事故は転倒です。利用者が転倒した際に、転倒を発見した職員がとるべき行動をリストアップしました。他にもあるとは思いますが、一緒に確認していきましょう。

転倒
・意識はあるか
・バイタルサインチェック
・意識低下はあればすぐに医療機関または看護師に連絡
・外傷はないか
・立つことはできるか
・通院、救急搬送時は家族に連絡
・家族には事故状況や対応を詳細に説明する
・記録する

つぎに急変時。文字通り、急にいつもと違う状態に利用者が陥ることです。余談ですが、終末期の利用者が、医師の医学的管理下において、呼吸が止まることは自然なことなので、急変とは言わないと思います。

急変(軽症)
発熱、下痢、嘔吐、頭痛、腹痛、一時的な血圧上昇、尿量減少、転倒後痛みが少なくバイタルサイン安定、擦り傷、打撲、止血により出血が止まっている
・バイタルサインチェック
・判断に迷う場合は医療職に相談し指示を受ける
・家族に連絡
・問題がなければ次の勤務者に引き継ぐ
・記録する

急変(重症)
心肺停止、急激な血圧低下、多量な吐血、多量な下血、呼吸混乱(血中酸素濃度低下)、止まらないけいれん、頭部打撲後の嘔吐、激しい腹痛、胸痛、骨折の兆候、出血が多い外傷
・バイタルサインチェック
・病院搬送が必要と判断したら応援スタッフに連絡
・家族に連絡(搬送する病院を確認する)
・119番で救急搬送を依頼、施設長・管理者に連絡
・記録する

介護事故の第2位で頻発するのが誤薬です。命に係わる場合があり、過失を問われる可能があります。声だし・指さし点検をする、2人以上の職員でダブルチェックするなどして、未然にミスを防ぎましょう。
誤薬
・看護師に報告する
・バイタルサインチェック・経過観察
・受診
・上司・家族に連絡
・記録する

介護事後の第3位で頻発するのが誤えん・窒息です。認知症がある利用者が、食べ物と間違って口にしてしまうと推測される場合は、あらかじめの対策が必要です。
誤えん・窒息
・タッピング
・食べ物をかき出す
・吸引
・背部叩打法(ハイムリック法)
・記録する

虐待。私だけじゃないしでは済まされません。同僚同士でダメ・ゼッタイと言える職場風土が必要です。
虐待
・食事介助時に口の中に食べ物が残っているのに ・目の前に次の食べ物を突き付けている ・立てないようわざと柔らかいソファや後ろの傾きが強い椅子に座らせている ・ほかの人には分からないように強い力で介助したり ・乱暴にあつかう ・威圧的な言動(「勝手に立ったらダメ」と強い口調で言うなど)で行動を制限する ・「くさい」「汚い」などの言葉を本人や他人の前で言う ・本人が操作できない鍵や仕掛けを設け外に出ようと思っても出られないようにする ・わざと冷めたご飯やみそ汁などを出す ・聞こえないふり、見ていないふり、知らないふりをする ・おむつ交換中に下半身を露出させたまま放置する ・お金を使わせない
・利用者の部屋・トイレ・布団などを汚いままにしておく ・必要と思われる医療や受診・治療の機会を提供しない ・本人の希望ではなく管理しやすい(切りやすい、洗いやすい)髪形にする


まとめ
リスクマネジメントは、スタッフ全員で日頃、業務に関連するリスクを把握・コントロールしてリスクが起こりにくくする活動のこと。リスクによる損害や損失の予防や最小化を目指すことです。

初期対応のリスクマネジメントだけでなく、そもそもリスクを回避する対策が必要です。利用者にあるリスクの要因、介助者にあるリスクの要因、環境にあるリスクの要因の3方から思いつくリスクをすべて洗い出して、対策していきましょう。