30歳代からの介護経営マネジメント

部下を持ったら押さえておきたい介護経営知識

無能な上司はなぜ無能なのか

f:id:keiten_0423:20180422005411j:plain

ピーターの法則というものがある(ピーターの法則 創造的無能のすすめ ローレンス・Jピーター著 ダイヤモンド社より)。
・人は自己能力の限界まで出世する。
・無能な人はそのポジションに留まり、有能な人は限界まで出世するがそのポジションで無能化する。
・組織の中では、まだ限界に達していない人たちによって勧められ、機能していく。

悲しいかな我々は組織で出世していくと、その先で無能化するのだ。あなたの職場にも一人はいるのではないだろうか。仕事しているフリをしている上司。本

人は一生懸命のつもりなのでその自覚はない。やたらタバコ休憩が多い上司。干されて窓際族化しているが、今更仕事を辞めることすらできず、定年退職をカウントダウンしているだけの上司。一つの資料を何か月も温め続けている上司。パソコンに向かっているが何の資料を作っているか誰も知らない上司。こんな上司はいないだろうか。

そう、その上司は、昔は優秀だったのである。昔は。だから出世した。長く勤めるだけで価値があったのだ。そのような上司は、自分の過去の栄光を未だに誇りに思っている。例え今は陳腐化していても。組織の中で仕事をしていると、あこがれの上司や先輩がいると成長が早い。しかしそれは、身近な先輩があこがれの存在の場合に限られ、実にあんな上司にはなりたくないといった場合が多いのはないだろうか。

あなたの職場には、キャリアパスやキャリアラダーのようなものがあるだろうか。はたまた、昇給試験のようなものがあるだろうか。キャリア形成のその先に注目してほしい。エスカレーター式に出世していき、その先がマネジメント層や経営層であれば要注意だ。あなたも、あの上司のように無能化してしまう可能性が高いのだ。介護の仕事で初級者、中級者、上級者とレベルアップしていくと、経営者になれるだろうか。だぶんなれない。スキルが別だからだ。もちろん例外はあるだろうか。介護の勉強をしていっても、良い先輩にはなれるが、より管理職になるには別スキルが必要だと考えた方がいい。

だから、あなたは介護の勉強やスキルアップを図りながら、経営や人材マネジメント、運営管理なども進めていかなくてはならない。一人の介護職員で定年を迎えたいなら話は別だ。患者・利用者の処遇の話をして仲間内で盛り上がり、一方では、年功序列で上がっていかない給料に一喜一憂していればいいわけだ。そうでないあなたは、ぶっちぎりの介護のプロフェッショナルを目指すか、ピーターの法則を回避し、有能なマネジメント層への仲間入りを目指すのか、経営者になるか、考え始めた方がいいと思う。営業が嫌いで福祉の道を選んだとか、物相手ではなく人相手の仕事がしたくで介護の道を選んだなどと言うとがいるが、介護の業界は年功序列で給料が上がる介護報酬体系にはないのだ。


ということで、本当に怖いピーターの法則。やはり自己研鑽は欠かせないのが、お分かりいただけたのはないだろうか。さて、介護の仕事に従事する人たちは、何の自己研鑽をすべきなのでしょうか。思い当たるのは、教育スキル、マーケティングスキル、セリングスキル。これらは、事業所の売り上げに直結する。実はこの辺りは本屋にいけば、それらしい知識は学べるのだ。あなたの職場はこれを実践する実験台の場にしてしまうのだ。机上の空論では話にならない。せいぜい飲み会のネタだ。これらを日々の組織内連携と多職種間連携の業務と並行して行っていくのだ。専門バカに陥ってしまっては、ピーターの法則が待ち構えている。

次に経営スキルだが、これは経営者になってみないと身につかないスキルと考えられるので、経営したことのない無能化した上司の話は参考にはならない。自分の会社の経営者、他の会社の経営者の話を聞くのが一番であろう。将来、独立して事業を始めるにしろ、組織で束ねていく存在を目指すにしろ、将来あなたが、何を目指すのかは早い段階から考えておいた方がよいだろう。そして、将来どうするのかを悩み始めるのは30代からだ。がむしゃらの時代はもう終わった。若さで突っ走れた時代ももう終わった。30代のリアルであろう。

最後に、介護の業界は資格社会だ。資格がなければ仕事ができない。上の資格を取得すれば給料が上がる。もしくは高い給料の層に上がれると考えがちだ。資格コレクターも多い。レアキャラになりたければ、やはりキャリアのかけ算なのである。資格の足し算は所詮、資格手当5,000円、10,000円の世界だ。年間で60,000円~120,000円。あなたの欲しい年収に届くだろうか。これが50歳なら?60歳なら?どうだろうか。終身雇用、年功序列の給与体系が崩壊した現代では、キャリアのかけ算の生き方が新しい生き方かもしれない。がんばって、がんばって出世して無能化してしまっては、元も子もないですからね。